英語で聞法「地獄」2/7

 前回「地獄」1/7(後)では妙好人 浅原才市氏の詩をとおして、我が鬼たる本性(my unscrupulousness)を目の当たりにするというお話をしました。
 今回より本シリーズの主題「地獄(Hell. Naraka)」に入ってまいります。

I have hell within my heart, and all day every day, the flames burn fiercely there.

真宗教団連合『法語カレンダー2023年3月』より

地獄はどこに!?

 地獄(Hell or Purgatory)とは“地下に在る牢獄(Jail underground)„の意味です(梵語「Naraka」の意訳。音訳では「奈落」)。現世で悪業(Karma, one’s accumulated actions)をなした者が死後その報いを受ける(being reborn to suffer for one’s karma to achieve its full result)苦しみ極まる世界。。。とされています。しかしながら、このご法語の作者 浅原才市氏は我が「こころにじごくがあるよ(I have hell within my heart)」と述べておられます。本当はどこに地獄があるのでしょうか。

 後半の句を見てみると、心に「ほのおがもえる(the flames burn fiercely there)」と補足して表現されています。「地獄がある」ことを「ほのおがもえる」ことと言い換えていると見ることができます。
 炎は仏教においては煩悩のひとつである瞋恚(怒り)の象徴とされることもありますが、才市氏は怒りだけにとどまらず、貪欲さも慢心も含め様々な煩悩を地獄の「ほのおがもえる」と表したようです。

地獄は悪果

 地獄の観念は仏教成立以前から存在しましたが、仏教において応報思想と輪廻思想が結びついて説かれるに至りました。釈尊が説かれた真理 “縁起„は応報思想を受容し発展させたものです。応報思想とは、“善い行いは善い結果を生み(善因善果)、悪い行いは悪い結果を生む(悪因悪果)„という思想です。悪因悪果を生まれ変わった後の世まで延長させると、苦しみを受ける世界、すなわち地獄という世界が展開されます。
 しかし悪果として苦しみを地獄とするなら、現世にありながら地獄を受けることはあり得ます。

 したがって、狭義の地獄は死後の苦しみの世界を指し、広義の地獄ではいま現に受ける苦しみ(あるいは悪因である煩悩)を含むと言えます。

「地獄」3/7につづく

※ 参照『往生要集を読む』中村元、『浄土真宗辞典』浄土真宗本願寺派総合研究所

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